うだるような暑さ、
こんな日はクーラーでひんやりしたお店で、静かにパソコン作業。
お店はこの5月で丸6年を迎え、7年目の夏が始まりました。
たまたま見つけた近所の物件、ここに変なお店が出来てしまうくらいなら、私が可愛いお店をやってやる!と半ば強引に、そして唐突に始めたお店です。
(まあ6年くらいやれば良いだろう)と始めてみれば、思いのほか6年という月日は大人にとっては短いもので、
いまだに色々悩みながら、毎週お店を開けています。お店を始めるまでは、何かが足りない、もっと何かができる、それは何なのだろうとモヤモヤと考えていましたが、お店を持ってからはその妙なモヤモヤは無くなりました。
私はモノが作りたいのではなく、モノがある世界観を見せたかったのだなーと腑に落ちました。
お店っていいな、チャンスがあればやってみたいな、
例えば高校生の時の授業中、
大学生の時バイトしながら、
ふとした折にたまに頭の隅の方にポっと湧いて出る、それは儚い夢のようなものでした。
決してその目的のためには努力をしない、ちょっとした憧れです。
一番に思い出すのは高校の帰り道、地元の駅前のホテル1Fにある雑貨屋さんのこと。
お店のお姉さんがとても素敵に見えて、そのお店で買い物をする自分の事すら誇らしく思えました。
お財布にお店のポイントカードを必ず入れていて、全部貯まるととっても嬉しかった。
二つめのお店は、ロンドンのKings Roadのお店。
テムズ川を挟んだ対岸に住んでいたので、街中から帰る途中のバスから右手にこのお店を見て、
左折するとぱっと景色が開け、テムズ川の水面がキラキラと輝いている、私にとってはその情景とともにあるお店です。
お店は高級なお店が並ぶエリアにあったので、到底私が買えるようなものは無かったのですが、
それでもぽつぽつとオモチャみたいな安いものも置いてあって、
その安価なオモチャですらもそのお店にあると宝物のように見え、
なけなしのお金で高まる想いとともに購入していました。
何も買えないから用事がないと恥ずかしくてお店に入れなくて、
閉店してからポツンとショーウインドウ―だけが照らされている、
シャッター越しのお店の前で、素敵だなあ、と佇んだ夜も一度や二度ではありません。
お店を始めるときは、このロンドンのお店の事をまず設計のIMAさんに伝え、
幸いにもIMAさんもお店をご存知で、少ない予算で私の夢を現実に近づけてくださいました。
お店は、売っているモノはもちろんですが、立地や内装、お店にいる人、色んな要素があるので、私が憧れたお店に私が追いつくことはできませんが、
あのお店が私の心を揺さぶったように、
来てくれた誰かの記憶に残り、懐かしい思い出とともにこのお店も存在してくれたら良いのにな、
と思いながら今日もお店を開けています。
今週もよろしくお願いいたします。
大石さちよ